遺言に関して疑問がある方へ
遺言に関してよくある疑問をQ&Aの形でまとめています。京都にある当事務所にご相談の際にも弁護士にご質問いただけますので、ご不明点等がありましたらお話しください。
- 遺言の種類
- 1 遺言書には大きく2つの種類があります 残された家族がもめないようにするためには,遺言書を残しておくことが大切です。通常,遺言書を作成する場合,自筆証書遺言か,公正証書遺言を作成することになります。そこで,それぞれの遺言書の特徴について・・・続きはこちら
遺言のことが知りたい方へ
遺言に関するお役立ち情報をまとめています。京都で遺言にお悩みの方も一度ご覧ください。また、何かご不明点等ありましたら、当法人までどうぞお気軽にご相談ください。
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遺言を作成するタイミング
1 遺言を作成すべきタイミングは人それぞれ
遺言があれば、家族同士のもめ事を防ぐ効果はもちろん、相続の手続きが簡単になるというメリットもあります。
古い遺言であっても、効力に影響はないため、遺言はできるだけ早い段階で作成しておくことが望ましいでしょう。
しかし、いざ遺言を作成するとなると、何から始めればいいか分からず、「そのうち作成すればいいか」という考え方になりがちです。
そこで、遺言を作成すべき代表的なタイミングについて、解説します。
2 簡単なものでいいから、今すぐ作成
自筆証書遺言であれば、いつでも簡単に作成できます。
例えば、「妻に全財産を相続させる」といった簡単な内容でもいいので、遺言を作成してみましょう。
一度遺言を作成することで、遺言作成のハードルはぐっと低くなります。
まずは遺言作成のハードルを低くしてから、遺言の細かい内容を変えていくのがよいでしょう。
3 家族構成が変わった時
家族構成が変わった時は、色々なことを検討するいい機会になります。
例えば、結婚をしたとき、子が生まれたとき、子が家族をもつことになったときなど、家族構成が変わる場面は数多くあります。
家族構成が変わった時は、保険をどうするか、家をどうするかなど、様々なライフプランを検討することになります。
その検討の1つに、遺言の作成を加えてみるのもよいかと思います。
4 資産の内容が変わった時
例えば、マイホームを購入した場合、その不動産はいずれ誰かが受け継ぐことになります。
株式や債券などを購入するなど、何らかの投資を始めた際も同様です。
このように、自身が持っている資産内容に変化があった場合は、「最終的にこの資産は誰が受け継ぐのか」を考えなければなりません。
資産をスムーズに受け継がせるためには、遺言が有効になります。
5 遺言作成は専門家に相談しましょう
遺言のタイミングは非常に重要ですが、それ以上に重要なのは、「遺言があることによって、かえってトラブルになった」という事態を防ぐことです。
どんな場面で、どのような遺言を作成すべきかは、専門家に相談しましょう。
遺言を作っておくべき人
1 本来は全員が遺言を作成すべきですが・・・
法律的には、遺言を作成するかどうかは、任意ということになっています。
とはいえ、遺言があると、様々な場面でメリットがあります。
例えば、相続人同士のもめ事を防止したり、相続手続を簡単にできたりといった点がメリットといえます。
そのため、誰しも、自分の相続に備えて、遺言は作成しておくべきと言えるでしょう。
そうはいっても、「本当に自分に必要なのだろうか」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回は、特に遺言を作成すべきケースについて、ご説明します。
2 不動産をお持ちの場合
日本では持ち家率が比較的高いため、マンションの一室や、一軒家などのご自宅を所有している方は多くいらっしゃいます。
しかし、相続の場面では、不動産は、扱いが難しい財産の1つといえます。
不動産は、預貯金や株式と違って、分けることが簡単ではありません。
また、不動産を所有していて、ローンの返済も終わっている場合、相続税申告が必要なケースがあります。
相続税申告は相続発生から10か月以内であるため、原則としてその10か月以内に遺産の分け方まで決めなければなりません。
そのため、あらかじめ不動産の分け方を決めておくことができる遺言は、非常に便利な存在です。
3 お子様が結婚している場合
相続人同士で遺産の分け方を話し合う場合であれば、話し合いがこじれることなく終わる場合も多くあります。
しかし、遺産の分け方の話し合いに、相続人以外の方が意見を出すようになると、話がややこしくなりがちです。
特に、相続人の配偶者同士が、遠慮のない意見をぶつけ合って、収拾がつかなくなるということもあります。
例えば、長男と二男では争いがなくても、各々の配偶者の仲が険悪といった事情がある場合は、遺産の分け方がなかなか決まらないこともあるでしょう。
遺言があれば、遺産の分け方で話し合いをする必要がなくなります。
4 お子様がいらっしゃらない場合
子がいない夫婦の夫が亡くなった場合、相続人は妻と夫の両親です。
夫の両親が他界している場合は、夫の兄弟が相続人になります。
妻から見れば、ついつい遠慮してしまいがちな方々と、遺産の分け方について話し合いをするというのは、心理的負担が多いでしょう。
そのため、お子様がいらっしゃらないご夫婦は、お互いに遺言を作成しておくと安心です。
遺言を作成するメリット・デメリット
1 遺言を作成すること自体のメリットとデメリット
遺言は、一定の方式に従った、遺言者の死後の法律関係を定める最終の意思表示です。
遺言を作成することによって、遺言者は、遺産の分配について、法律の規定とは異なる割合で分けることができ、また、相続人でなくても、遺産を渡したい相手に遺産を渡すことができます。
また、遺言を作成することによって、死後、相続人の間で遺産分割協議をする手間を省くことができますし、相続人の間で遺産争いになることを防ぐことができます。
さらに、遺産の分配によって相続税の支払いが最小になるように配慮することもできます。
このように、遺言を作成すること自体に多くのメリットがあります。
他方、遺言を作成すること自体のデメリットとしては、以下に述べるように、遺言の作成に様々な手続や制約があって作成に手間がかかることのほか、遺言の内容によっては相続人や遺産を受け取る人(受遺者といいます)の間で争いが生じる可能性があること等が挙げられます。
2 自筆証書遺言のメリットとデメリット
自筆証書遺言は、遺言者自身が遺言を作成するものですので、手軽に費用を要することなく、遺言を作成することができます。
この点は、自筆証書遺言のメリットであると言えます。
もっとも、自筆証書遺言は、死後に遺言の効力が争われることを防止するため、厳格な様式が定められている上、原則として遺言の全文を遺言者が自筆し、押印しなければならず、ワープロ等で作成することはできません。
また、遺言が改変される危険やなくしてしまう危険、遺言が見つからない危険があります。
さらに、自筆証書遺言の保管者は、相続が始まった後、遅滞なく、家庭裁判所に検認を請求し、遺言の内容を確認することが必要です。
この点は、自筆証書遺言のデメリットであると言えます。
もっとも、自筆証書遺言は法務局に預けることができ、それによって変造や紛失の危険はなくなりますし、検認も不要になります。
3 公正証書遺言のメリットとデメリット
一方、公正証書遺言は、公証人が遺言者の口授を基にして公正証書として作成する遺言です。
ですので、遺言者が自筆する必要もありませんし、遺言が後で捨てられたり改変されたりする心配もありません。
また、相続が始まった後で検認手続をする必要もありません。
この点は、公正証書遺言のメリットであると言えます。
もっとも公正証書遺言を作成するには公証人に作成を依頼するため、相当の費用や手間がかかります。
また、公正証書遺言を作成するにあたり、証人が2人必要ですので、証人のなり手を探す必要があります。
この点は、公正証書遺言のデメリットであると言えます。
遺言の作成に必要な費用
1 費用0円でも遺言の作成は可能
遺言にはいくつか種類がありますが、一番費用がかからない方法として、自筆で作成する遺言があります。
自筆で作成する場合は、筆記用具と印鑑さえあれば、いつでも、どこでも遺言の作成が可能です。
もっとも、自筆で遺言を作成する場合は、守らなければならない決まりがたくさんありますので、しっかりと法律の決まりを調査した上で、作成する必要があります。
2 専門家に相談した場合の費用
法律に詳しくない方が遺言の作成をした場合、法律の決まりを守っていない遺言が出来上がってしまい、その遺言が無効になってしまう可能性があります。
そこで、弁護士等の専門家に相談するということが重要になってきます。
専門家に相談する場合は、相談料が必要になるケースがあるため、まずは無料で相談している事務所に相談することをおすすめします。
3 専門家に遺言の作成を依頼した場合
遺言の作成の方法として、専門家に遺言の案を作ってもらい、それを書き写すという形で、自筆の遺言を作成することがあります。
遺言は、ただ作成するだけでなく、相続発生後に預金を解約したり、不動産の名義変更をできるような法的な文言で作成する必要があるため、その文案の作成を専門家に任せるというケースです。
その場合、専門家に遺言の文案作成の費用を支払うことになります。
費用は、事務所ごとに異なるため、ホームページなどでチェックしましょう。
4 遺言作成のための資料を集める費用
遺言を作成する場合、作成のための資料が必要になることが多くあります。
例えば、不動産をお持ちの方であれば、登記簿謄本などの資料が必要です。
また、遺産を相続させる方の戸籍上の氏名や生年月日を確認するため、戸籍謄本を取得することもあります。
そういった資料を取り寄せる際は、役所に支払う手数料が必要になります。
5 公証人に支払う費用
遺言を公証役場で公正証書にする場合、公証人に手数料を支払うことになります。
公証人に支払う手数料は、財産の多さや、財産を渡したい人の人数で異なってくるため、公証役場のホームページで確認が必要です。
専門家に依頼した場合の遺言の作成方法
1 2つの作成方法
遺言書を専門家に依頼した場合、専門家は主に2つの方法を検討します。
1つは、遺言を残したいと考えた方に、自筆で遺言書を作成していただく方法です。
もう1つは、公証役場で公正証書を作成する方法です。
どちらの方法も、長所や短所がありますが、どんな場合に、どちらの方法がいいのかは、その時の状況によって変わります。
そのため、専門家は、まずどちらの遺言書が適切なのかを判断するために、聴き取りをさせていただきます。
2 遺言書作成の趣旨を決める
目的もなく遺言書を作る人はいないかと思いますので、必ず何かしらの目的を持って遺言書を作成するはずです。
例えば、先代の相続では家族間で紛争が起きてしまったため、今回は紛争を起こさないために、遺言書を作成するという場合があります。
また、老後のお世話をしてくれた方に、多く遺産を渡したいという場合もあります。
その目的によって、どのような遺言書が適切なのかが異なってきます。
そこで、遺言書の作成をするにあたって、最も重要なことは、何のために遺言書を作成するのか、ということをしっかりと決めておくことです。
3 遺言の作成のために資料を集める
遺言をするためには、正確な情報が必要です。
相続人は何人いるのか、どのような財産を持っているのかなどの情報がなければ、適切な遺言はできません。
そのため、例えば戸籍謄本や、通帳、登記簿謄本などの資料を揃える必要があります。
4 後で遺言が無効にならないための対策
遺言の内容によっては、相続人が不満を持ち「この遺言は無効だ」と主張する場合があります。
そういった場合に備えて、専門家は、遺言が無効にならないための対策を講じます。
例えば、「当時は認知症だったはずだ」という主張がなされないよう、病院で医師の診断書を取ったり、問題なく会話ができる様子を映像に残しておくといった方法があります。
特に、手書きの遺言を作成する場合は、法律のルールを守らないと無効になってしまうため、しっかりと文献や判例を調査の上、遺言の作成を行います。
弁護士に遺言の相談をする流れ
1 遺言の目的を決める
どのような遺言を行うかは、どんな目的で遺言を作るかによって異なります。
例えば、介護を頑張ってくれた同居の長女に、家を相続させたいと考えた場合、「家を長女に相続させる」という記載は必ず必要になりますが、それだけでは足りません。
家という高価な不動産を相続させた以上、他の相続人に一定額の預貯金などを相続させないと、相続人間で争いが生じてしまう可能性があります。
このように、遺言の内容は、遺言の目的に従って、細かく遺産の配分を決めていく必要があります。
そのため、まずは遺言を行う目的を明確にすることが大切です。
2 遺言を得意とする弁護士を探す
遺言に詳しくない弁護士が、遺言の作成に関与し、結果的に遺言の効力について裁判を起こされてしまっては、遺言を作った意味がありません。
そのため、遺言を作成する場合は、「どんな場合に裁判が起きてしまうのか」を把握することが大切です。
しかし、遺言に関する裁判に詳しい弁護士は、必ずしも多くはありません。
そこで、遺言の相談をする場合は、遺言に関する案件を得意としており、裁判についても知識のある弁護士に相談することが大切です。
3 相談前の準備
遺言を作成するためには、誰にどんな財産を相続させるのかを決める必要があります。
そのため、まずはどんな財産を持っているのかを、改めて確認しましょう。
不動産をお持ちなら、固定資産税評価証明書を取得したり、預貯金をお持ちなら、記帳をして残高を確認すると、財産の内容が明確になります。
4 相談の予約
弁護士の事務所に電話やメールで、相談の予約をしましょう。
その際、家族構成や、所有している財産の内容を大まかに伝えると、後日の相談がスムーズに進みます。
また、相談の予約をする際は、相談料が無料なのかどうかもチェックしておくことをおすすめします。
5 相談当日
用意した資料を持って、事務所で弁護士と相談をすることになります。
相談者様の意向を伺った上で、弁護士がどのような遺言を作成するべきかについて、アドバイスをさせていただきます。
また、遺言の作成方法にも種類がありますので、手書きの遺言がいいのか、公正証書にするのがいいのかなど、適切な遺言の方法についても、ご説明します。
遺言で困った場合の相談先
1 遺言を作るためには裁判のノウハウが必要です
遺言と裁判に関するノウハウは、あまり関係がないと思われがちです。
しかし、裁判のノウハウを知らなければ、適切な遺言の作成は困難であるといえます。
例えば、遺言を作成した方は「これで残された家族が遺産について揉めることはない」と考えるかもしれません。
しかし、実際には、遺言に関する裁判は日本中で行われています。
裁判になった例を見ると、後々の争いを防止するために必要な文言が記載されていなかったり、遺言が有効であることの証拠を残しておかなかったりと、適切とはいえない遺言が散見されます。
遺言に関する裁判を防ぐためには、どのような遺言の場合に裁判になる可能性があるかという点を深く知っている必要があります。
2 遺言の裁判を扱っていない専門家には注意が必要
先ほどご説明した「適切とはいえない遺言」の中には、実は、専門家が遺言の作成に関与しているものも多くあります。
つまり、専門家が遺言の作成をサポートしていても、あとで裁判になるケースは少なくないのです。
その理由として、遺言の作成は多く扱っていても、遺言に関する裁判を扱っていない専門家が関与していた可能性があります。
遺言の作成を依頼する場合は、遺言に関する裁判を扱っている専門家に相談することが大切です。
3 民間資格者や銀行には注意が必要
民間資格者や銀行は、法律に関する国家資格を持っていません。
そのため、そもそも遺言に詳しいかどうかも分からないことが多くあります。
また、民間資格者や銀行は、遺言に関する裁判を扱うことはできませんので、遺言に関する裁判に詳しいとは限りません。
さらに根本的な問題として、「どのような遺言を作成するか」という相談を受けることができるのは、一定の国家資格を持つ者に限定されています。
そのため、相談先が民間資格者や銀行である場合は、その相談自体が法律違反になっている可能性もあるため、注意が必要です。
4 ご相談は当法人へ
以上でご説明したとおり、遺言の相談をする場合は、①遺言に詳しく、②遺言に関する裁判を扱っており、③遺言の相談を扱うことができる資格を持つ専門家に相談することが重要です。
弁護士であれば裁判を取り扱うこともできるため、遺言について相談する場合は弁護士を選ぶことをおすすめします。
当法人には遺言を得意とする弁護士がおりますので、遺言のご相談をお考えであれば、当法人にご相談ください。
遺言を依頼する場合の専門家の選び方
1 遺言の相談は弁護士に
遺言書の作成をしようと思ったとき、相談先として思い浮かぶのは弁護士、司法書士、行政書士などの士業だと思います。
これらの資格者の中で、どの専門家に相談するのが適切なのか、判断に迷う方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、遺言の相談を弁護士に行うべき理由について、ご説明します。
2 遺言全般についてアドバイスができるのは弁護士だけ
遺言書を、「ただ何となく作る」と、後々トラブルが起きる可能性があります。
そこで、以下の点について注意しつつ遺言書を作成する必要があります。
⑴ 遺留分の問題
特定の相続人に対して多くの遺産を渡す場合、他の相続人に遺留分が発生する可能性があります。
仮に遺留分が発生すれば、家族間で裁判等に発展する可能性があります。
遺留分について相談を受けたり、裁判を行ったりすることができるのは、原則として弁護士のみです。
そのため、遺留分の問題について、最も的確にアドバイスができるのは弁護士であるといえます。
⑵ 遺言の無効の裁判
遺言内容によっては、「この遺言は無効だ」という裁判に発展する可能性があります。
遺言が無効だという裁判を扱うことができるのは、原則として弁護士だけです。
そのため、どのような遺言書を作成すると裁判になりやすいのか、という点からアドバイスができるという観点からすると、弁護士が適任といえます。
⑶ 遺言執行に関する裁判
相続発生後は、遺言書に記載されている事柄を実現するための手続きが必要です。
この手続きのことを遺言執行といい、遺言執行を行う人のことを遺言執行者といいます。
遺言執行者は、法に定められたルールに従い、不動産の名義を変更したり、場合によっては裁判等も行う必要があります。
また、反対に遺言執行者が裁判を起こされることもあります。
こういった遺言執行を巡る裁判を扱うことができるのは、原則として弁護士だけです。
3 弁護士と他の専門家の違いのまとめ
以上ご説明したとおり、遺言書の作成は、様々な裁判のことを考えつつ行う必要があります。
しかし、裁判を扱うことができるのは原則として弁護士だけです。
そのため、遺言に関する相談のトータルサポートは、弁護士が最も適しているといえます。
遺言を得意としている弁護士にご相談を
1 全ての弁護士が遺言に詳しいとは限らない
遺言は、ご家族に遺す最後の言葉という一面があります。
その内容次第で、ご家族が遺産を巡って争うことを防ぐこともできるため、適切な遺言書の作成はとても大切です。
しかし、遺言書の作成は、多くの法律分野の1つに過ぎないため、弁護士であっても詳しいとは限りません。
そのため、遺言書を作成する場合は、遺言について詳しい知識や経験がある弁護士に相談することが大切です。
2 問題となりうるケース
⑴ 子が先に亡くなることを想定していない遺言書
ご家族が、必ずしも年齢順に亡くなるとは限りません。
事故や病気などで、子や孫が先に亡くなってしまうことも考えられます。
そのため、「もし、親より先に子が亡くなった場合」に、遺産を誰に取得させるかを遺言書に記載しておかないと、相続人同士で遺産の分け方を話し合わなければならなくなります。
⑵ 相続税のことを考えていない遺言書
遺産を誰が取得するかによって、相続税が大きく変わることがあります。
例えば、配偶者が遺産を相続すれば、相続税を大幅に安くすることが可能ですが、その配偶者が亡くなった時のことを考えると、むしろ配偶者に相続させない方がよかったというケースもあります。
他にも、孫養子に多くの遺産を残したいと考え、遺産のほとんどを孫養子に相続させた場合、相続税が2割加算されてしまいます。
3 遺言について相談する弁護士
遺言で失敗しないためには、遺言を得意とする弁護士に相談することが大切です。
遺言を得意とする弁護士の特徴として、相続の案件を多く扱っているということがあげられます。
相続の案件を多く扱っている弁護士であれば、遺言に関する裁判を多く扱っており、どのような遺言書であれば、どんな問題が起きやすくなるのかということを把握しています。
そのため、遺言を巡る裁判が起きないよう、適切なアドバイスが可能です。
また、遺言を得意とする弁護士は、税金面も考慮した上で遺言の内容を提案できるという特徴もあります。
上記でもご説明したとおり、遺言の内容によって、相続税が大きく変わる可能性があります。
遺言に関するご相談を数多く対応している弁護士であれば、税に関する知識もあり、より適切なサポートを行ってくれることが期待できます。
自筆証書遺言で失敗しないために
1 自筆証書遺言は3つの意味で無効になりやすい
自筆証書遺言は、15歳以上であれば、誰でも作成することができ、紙とペンさえあれば、いつでも作成できる手軽さがあります。
そのため、自筆証書遺言を作成されている方は意外と多いのですが、専門家のアドバイスを受けなかったため、後で無効になってしまうケースも少なくありません。
実際に、裁判所では、遺言書の無効を巡って何度も裁判が行われています。
自筆証書遺言が無効になるケースは大きく3つのパターンがありますので、詳しくご説明いたします。
2 形式面で無効になるパターン
遺言書の形式は、法律で様々なルールが決められています。
例えば、自筆証書遺言を作成する場合、必ず日付が必要です。
そのため、日付がない遺言書は無効になります。
仮に日付が書いてあっても、「吉日」など具体的な日付が特定できない場合は、遺言書は無効になります。
このように、遺言書作成について、法律で定められたルールを守っていないと、遺言書は形式面で無効になってしまいます。
3 内容面で無効になるパターン
遺言書は、どの遺産を誰に渡すかを特定できるように作成する必要があります。
例えば、「私の大切な宝物を、受け継ぐにふさわしい人間に、託します」といった遺言書を作成した場合は、どうなるでしょうか。
まず「私の大切な宝物」という言葉が、何を指しているのかが不明確です。
次に、「受け継ぐにふさわしい人間」という言葉も、誰を指しているのか不明確です。
最後に、「託します」という言葉は、財産の所有権を受け継がせるのか、管理だけを任せて、別の人に所有権を渡すのかが不明確です。
このように、遺言書の内容が特定できないような遺言書は、内容面で無効ということになります。
また、「私の全財産を京都に寄付する」といった遺言書であれば、寄付する先が京都府なのか、京都市なのかが分からず、特定できないと判断される可能性があります。
4 本人が書いたことを証明できず無効になるパターン
自筆証書遺言は、あくまで遺言者本人が作成する必要があります。
別人が勝手に作成することはもちろん、代筆さえ認められていません。
そのため、自筆証書遺言が有効であると主張する場合は、「この遺言書は間違いなく本人が作成したものだ」という証明をする必要があります。
こういったケースで、「筆跡鑑定をすれば大丈夫」と考えている方は、注意が必要です。
DNA鑑定のように、科学的にほぼ間違いがないであろうことが証明されている証拠と異なり、筆跡鑑定は、そこまで証明力が高い証拠ではありません。
本人が作成したことを証明するためには、遺言書を作成するところを録画するなど、後で裁判になった場合を想定した証拠集めが不可欠です。
5 遺言のお悩みは弁護士へご相談ください
このように、自筆証書遺言は様々な原因から無効になってしまう可能性があります。
せっかく作成された遺言が無効になってしまわないようにするためにも、遺言の作成をお考えの方は当法人へご相談ください。
形式面が有効であることはもちろん、内容面もより充実した遺言になるよう、弁護士がサポートさせていただきます。
相続人が揉めないよう遺言を作成する際に注意すること
1 相続人が遺言で揉める原因
相続人が揉めないように遺言を作成するためには、相続人の間での、遺言で揉める原因をよく知っておく必要があります。
相続人の間での遺言で揉める場合として
① 被相続人がひどい認知症であることなど、遺言能力が疑われる状態で遺言を作成していたこと
② 被相続人が作成した遺言が、遺言の要式を守っていないこと
③ 遺言の表現からは、どの遺産を誰が引き継ぐのか分からないこと
④ 遺産分割協議が終わった後で遺言書が発見された上、遺言の内容が遺産分割協議の内容と食い違うこと
⑤ 遺言による遺産配分について、相続人が不満を抱くこと
などが考えられます。
2 相続人が揉めないように遺言を作成する方法
それに対して、相続人が揉めない遺言を作成するために、以下のようなやり方が考えられます。
① 健康なうちに遺言を作成する
健康なうちに、又は病気の影響が小さな時期に遺言を作成しておけば、後で遺言能力が問題になるおそれはありません。
② 遺言の要式を守る
遺言の作り方には日付を入れる、財産目録を除く本文を自筆するなど、法律で決められた要式がありますので、その要式を守りましょう。
遺言の要式に不安があれば、弁護士等の専門家に相談するか、公証人に依頼して公正証書遺言を作成することも考えられます。
③ 表現を分かりやすく明確にする
誰がどの相続財産を引き継ぐのか、解釈に困ることがないよう、明確で分かりやすい表現で遺言を作成するようにしましょう。
④ 公正証書遺言を利用する、又は自筆証書遺言を法務局に預けておく
公正証書遺言は、その原本が公証役場に保管されます。
また、自筆証書遺言であっても、手続きによって法務局に預けておくことができます。
それによって、遺言が隠されたり破り捨てられたりするおそれがなくなりますし、遺言があることが初めから分かりますので、遺言があるのに遺産分割協議が行われることもなくなります。
⑤ 遺産を配分しない相続人に配慮する
ある相続人に遺産を多く配分し、他の相続人に遺産を少ししか配分しない場合、遺言の中で、その理由を明らかにして、他の相続人に配慮する姿勢を示しておくべきです。
例えば、ある相続人が被相続人の生前、介護等、身の回りの世話をして大変よく尽くしてくれたことなどを、遺言の付言事項として記載しておくことなどが考えられます。