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相続と空き家

  • 文責:所長 弁護士 伊藤美穂
  • 最終更新日:2024年10月18日

1 相続した空き家を放置することのリスク

ご両親が亡くなり、ご両親が居住していた家を相続したというケースがあります。

このような場合において、相続人である子ども達は、遠方に居住しているなどの理由からその家に住む予定はなく、そのまま空き家になってしまうというケースが少なくありません。

ご両親が長く住んでいた家を相続した場合、すでに築年数が数十年以上経過していることが多く、建物の老朽化が進んでいます。

それに加えて、住む人がいなくなれば、建物の手入れをする人が一人もいなくなるため、ますます老朽化が進んでしまいます。

その結果、建物が倒壊したり、ゴミ屋敷のようになって野生の動物が住み着くようになったりすることもあり得ます。

空き家を相続した相続人は、実際にはその家に住んでいないとしても、空き家の所有者として、こうした事態を防ぐ義務があります。

そのため、万一その空き家が原因で何らかのトラブルが起きてしまった場合、多額の損害賠償責任を負わなければならないことも予想されます。

2 相続放棄をしても保存義務を負う場合がある

対して、相続放棄をすれば相続人ではなかった扱いとなり、その結果空き家の所有権を失うことになるため、空き家に関する責任を負わなくてもいいと考える方もいらっしゃるかと思います。

しかし、相続放棄をしても空き家問題は解決しないことがあります。

相続放棄をした人は、放棄時に遺産である不動産を占有しているときには、その不動産の保存義務を負う場合があります。

保存義務を負っていると、空き家が原因で起きたトラブルは、保存義務を負う者として責任をとらなければならない可能性があります。

具体的にどのような場合に、保存義務を負うことになるのかは専門家へご確認ください。

このような保存義務を負ってしまった場合の対応としては、相続財産清算人の選任を裁判所に申し立てて、相続財産清算人に不動産の保存義務を移行する必要があります。

ただ、この手続きを行う場合、裁判所に数十万円のお金を納める必要があるケースが多いため、手軽に行える手続きではありません。

相続財産清算人選任申立ての方法については、裁判所のホームページにも詳細な情報が記載されていますので、参考にご覧ください。

参考リンク:裁判所・相続財産清算人の選任

3 不要な空き家は売却するという方法も

実際に住んでいない空き家であっても、所有をしている限り保存義務や固定資産税などの負担がかかります。

そこで、空き家が不要ということであれば、売却してしまうというのも一つの方法です。

もし、何もせずに空き家を放置し続けた場合、結局は次の世代に問題を先送りしてしまうことになります。

亡くなった方の子どもの世代で空き家の問題が解決できなかった場合、孫の世代、ひ孫の世代でその問題を解決しなければならなくなります。

そうなれば、相続人が何十人もいるという事態もあり得ます。

空き家を売却するには相続人全員の同意が必要になるため、次の世代に問題を先送りすると、相続人の数が増え、その全員から同意を得ることが難しくなるなど、空き家の問題を解決することがますます難しくなります。

そうならないように、今の世代で空き家を売却してしまった方が、次の世代に迷惑をかけずに済むかもしれません。

4 空き家を売却する場合は相続から3年以内に

相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば、税金を安くできる可能性があります。

参考リンク:国税庁・被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

どのような条件が必要なのか、ここでいくつかのポイントをご説明します。

⑴ 亡くなった方が1人暮らしだったこと

亡くなった方が1人でその家に暮らしており、相続によって空き家になったという条件が必要です。

もし、亡くなった方に同居人がいる場合は、空き家ではありませんので、税金を安くすることはできません。

⑵ 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること

税金を安くできる対象は、「昭和56年5月31日以前」に建築された建物と敷地のみです。

築年数が新しい建物は、税金を安くすることはできません。

⑶ 相続から売却までずっと空き家であること

相続した空き家に、誰かが居住したり、第三者に賃貸したりした場合は、その不動産はすでに空き家とはいえませんので、税金を安くすることはできません。

⑷ 相続発生から3年以内に売却すること

相続発生から3年という期間制限があります。

もう少し厳密にいうと、相続から3年が経過する年の12月31日までに売却する必要があります。

⑸ 不動産の売却価格が1億円以下であること

不動産の価格が高い物件は、税金を安くすることはできません。

5 空き家の相続でお困りの場合はご相談ください

少子化が進み、それに伴って空き家が増え続けていることから、相続した空き家をどうするかという問題は、社会問題になりつつあります。

空き家の問題は、法律や税金、不動産などの知識が必要とされる難しい問題です。

相続はしたものの空き家となってしまいお困りの方は、一度専門家に対応について相談されることをおすすめします。

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