相続について弁護士に相談するタイミング
1 どのようなケースでも弁護士にすぐ相談することが大切です
相続の手続きで分からないことがある場合、将来の遺産を巡る紛争を防ぎたい場合、すでに紛争が発生してしまっている場合など、相続のお困りごとは多種多様です。
もっとも、どのようなお困りごとにも共通していることは、「相談は早いに越したことはない」ということです。
弁護士に相談となると、ハードルが高いように思われる方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、少し前までは、弁護士は近づきがたい・相談しづらいと思われており、裁判を依頼するためにやむを得ないというような場合でないと、相談することをためらわれがちでした。
しかし、今では、無料相談を行っている事務所も多く、ホームページでの情報発信も盛んであるため、弁護士に相談するハードルはどんどん下がっており、気軽に相談しやすくなっています。
以下では、なぜ弁護士に早く相続の相談をしておくべきなのかについて、ご説明します。
2 期限に遅れると重大な不利益が発生する可能性
例えば、亡くなったAさんに3000万円の借金があるような場合だと、期限内に相続放棄の手続きをしなければ、相続人が3000万円の借金を背負わなければならなくなります。
また、相続税申告期限を守ることができなかった場合、本来納めるべき金額より、多くの税金を納付しなければならなくなります。
このように、相続の手続きの期限を守ることができなかった場合、思わぬ不利益が発生することがあります。
ですが、相続の手続きに慣れていない方であれば、そもそもどの手続きにどれくらいの期限が設定されているのかが分からないことが多いのではないでしょうか。
そのため、どのような手続きに期限があるのか、どういった手続きが必要なのかについて、すぐに弁護士に相談し、あらかじめアドバイスを受けておくことが大切です。
3 証拠が失われる可能性
例えば、介護をした人が多く遺産をもらうべきだと主張する人がいたり、特定の相続人が多額の生前贈与を受けていたと主張する人がいたりなど、相続では様々な点で揉め事が起きる可能性があります。
相続で争いになった時に、よく裁判で使われる資料として、例えば病院のカルテ、介護施設の介護記録、預貯金の取引履歴といったものがあります。
これらの証拠は、各機関によって保管期間が定められていることが多く、保管期間が経過した場合は、廃棄されてしまうことがあります。
証拠が廃棄されてしまうと、有利な主張をすることができなくなってしまうため、できるだけ早い段階で証拠を集めておく必要があります。
どのような場合に、どういった証拠が必要になるのかは、相続の裁判を多く行っている専門家でなければ判断が難しいため、なるべく早い段階で、弁護士に相談しておくことが大切です。
4 紛争の防止が出来なくなる可能性
残された家族が、ご自身の遺産を取り合い、裁判にまで発展してしまうことは、できることなら避けたいと考える方が多くいらっしゃいます。
そのためには、ご家族が揉めないように、事前に対策を打っておく必要があります。
遺言の作成は、相続トラブルを未然に防ぐために有効な対策です。
しかし、内容面が適切でないと、かえって争いの火種になってしまう恐れがある点に注意が必要です。
遺言で失敗するケースをまとめておりますので、参考にご覧ください。
将来的にどのような争いの火種があるのかに応じて、対応策が変わってくるため、家族構成や所有財産の種類、現在の人間関係などによって、とるべき方法が異なります。
相続における揉め事防止のためには、どういったケースで、どのような争いが起きやすいのかを熟知した弁護士に相談することが重要です。
また、ご家族が揉めないための対策は、ご自身がお元気なうちでないと、行うことができません。
もし、認知症などによって判断能力が低下した場合には、生前対策が困難になります。
そのため、ご自身の相続について、将来の紛争を防止するためには、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが大切です。