預貯金の相続手続きに関するQ&A
父が亡くなったのですが、父名義の預貯金はどうすればいいですか?
お父様の預貯金の名義変更、もしくは解約手続きを行ってください。
銀行などの金融機関は、口座名義人の死亡を確認すると、預貯金口座を凍結させてしまいます。
預貯金口座が凍結されると、預貯金の払い戻しができなくなったり、口座から自動引き落としになっている支払いが止まってしまったりといった事態が起こります。
そのため、相続が発生した後は、預貯金の名義変更、もしくは解約手続きを行う必要があります。
金融機関は父が亡くなったことを知らないため、ATMで預貯金を払い戻すことができます。相続手続をしなくても大丈夫でしょうか?
現在は預貯金の払い戻しができる状態であっても、早急に相続手続を行うようにしてください。
金融機関が口座名義人の死亡を知らなかった場合、暗証番号さえ知っていれば、預貯金を払い戻すことは可能です。
しかし、金融機関がどのような経緯で、口座名義人の死亡を知ることになるかは分かりません。
そのため、しばらくは払い戻しができていても、ある日突然預貯金の払い戻しができなくなるという事態が発生することがあります。
また、相続が発生した後は、預貯金は相続人全員の共有財産となります。
遺産の分け方が正式に決まるまでの間に、無断で預貯金の払い戻しを続けてしまうと、本来は起こるはずのなかったトラブルが相続人の中で発生してしまうことがあります。
そのため、預貯金の払い戻しができる状態であったとしても、早急に相続手続を行うようにしてください。
父の預貯金の名義変更や、解約をするためには、どのような手続きが必要ですか?
亡くなったお父様の戸籍謄本を集める必要があります。
預貯金の相続手続きを行う場合は、銀行などの金融機関に対し、そこに預貯金を持っていた方が亡くなったということを証明する必要があります。
戸籍謄本は、それを証明する手段として利用されます。
父が亡くなったことが記載されている戸籍謄本があれば、十分ですか?
単に亡くなったことを記載する戸籍謄本だけでなく、その方が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本が必要です。
相続人には順位があるため、まずは第1順位の人数を確定させる必要があります。
亡くなった方の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を集めることによって、第1順位の相続人である、亡くなった方の子の人数が分かります。
戸籍謄本以外には、どのような書類が必要ですか?
相続人となる方の戸籍謄本と、相続人の印鑑登録証明書が必要です。
相続人の戸籍謄本を提出することで、相続人が存命であることを証明します。
また、相続人本人が手続きを行っていることを証明するために、印鑑登録証明書を添付します。
父が自筆の遺言書を残していました。遺言書を銀行に持っていけば、預貯金を解約できますか?
自筆の遺言書が残っている場合、原則として検認という手続きを行う必要があります。
検認とは、家庭裁判所に遺言書を提出し、遺言書の存在と内容を残しておくための手続きです。
この検認手続きを行わないと、自筆の遺言書があったとしても、原則として預貯金の解約はできません。
参考リンク:裁判所・遺言書の検認
また、遺言書以外にも必要となる書類があり、金融機関によって異なりますので、事前にご確認ください。
参考リンク:一般社団法人全国銀行協会・遺言書がある場合
まだ遺産の分け方が決まっていませんが、預貯金の解約だけ先に行うことはできますか?
相続人全員が同意していれば、遺産の分け方が決まっていない段階でも、預貯金の解約は可能です。
生前の入院費の支払いや、遺品の整理など、亡くなった方の関係で一定の費用が必要になることがあります。
そのような場合に、遺産の預貯金から費用を支払うことができないと、非常に不便です。
そのため、銀行などは、仮に遺産の分け方が決まっていない状態であっても、相続人全員の同意があれば、預貯金の解約をすることを認めています。
預貯金の解約をするためには、どうすればいいですか?
通帳などを見て、取扱店に連絡をし、所定の用紙に署名・押印することになります。
所定の用紙は、銀行などによってそれぞれ独自のものがありますので、それぞれの銀行等に問合せをしながら手続きを進める必要があります。
相続人の1人が行方不明なのですが、預貯金の相続手続はできますか?
相続発生後は、預貯金は相続人の共有財産となります。
そのため、相続人全員の同意がないと、預貯金の名義変更、解約等の相続手続はできません。
したがって、行方不明の相続人がいる場合には、相続手続を行うことができないというのが結論となります。
このような場合には、裁判所で特別な手続きを行う必要があります。
相続の手続きの期限に関するQ&A 相続した株の名義変更をする場合のQ&A